家賃がもったいないかどうかは、年数で変わります。短く住むなら家賃のほうが得。10年以上同じ地域に住む見込みで、売れる物件を選べるなら、購入で資産が残ることが多い。つまり「家賃はもったいない」は半分本当で半分は条件次第。判断すべきは「あなたが何年住むか」「出口で売れる物件か」の2点です。札幌で家を考えている人へ、現場の数字と実例で整理します。
【この記事のポイント】
- 「家賃もったいない」が本当かは、住む年数と物件の売りやすさで決まる
- 札幌では中古マンションを買って約10年後にほぼ同額で売り、頭金が残った実例がある
- 購入を検討すべき人・賃貸のままが安全な人の判断基準を5つで提示
今日のおさらい:要点3つ
- 「家賃もったいない」は短期居住では成り立たない。数年で出るなら賃貸のほうが総額で安いことが多い。
- 長く住み、出口で売れる物件を選べば、家賃として消える分が資産(自己資金)として手元に残る可能性がある。
- 判断材料は「居住年数」「売却しやすい立地・築年」「月々の返済が家賃と同水準か」の3点で、感情ではなく数字で決める。
この記事の結論
- 一言で言うと、家賃がもったいないかは「何年住むか×売れる物件か」で答えが反転する
- 最も重要なのは、購入を「住む」だけでなく「将来売る・住み替える」前提で考えること
- 失敗しないためには、1社の試算だけで即決せず、複数の返済シミュレーションと出口価格を比較すること
夜中に「家賃 もったいない」と検索した、その手前にあるもの
同じ言葉を検索窓に打ち込む夜
更新の通知が来た。2年でまた更新料。スマホの計算アプリを開いて、家賃に12をかけて、住んだ年数をかけて、出てきた数字を見て少し黙る。そのあと検索窓に「家賃 もったいない 本当」と打ち込む。たぶん、何度目か。
この検索をする人の多くは、答えがほしいというより、決める材料がほしい。買ったほうがいいと背中を押されたいわけでも、賃貸でいいと安心させられたいわけでもなく、自分の状況で本当のところどうなのかを知りたい。正直なところ、ネット上には「家賃は捨て金」という極端な意見と「持ち家は負債」という逆の極端が並んでいて、どちらも自分の話には聞こえない。
私たちアクシエイズムにも、こういう状態で相談に来る方がよくいます。最初の一言は「買ったほうが得なんですか?」。でも話を聞いていくと、本当に知りたいのは「自分が損をしないか」だったりする。
「もったいない」の正体を分解する
家賃がもったいないと感じるのは、払ったお金が手元に何も残らないから。これは事実です。ただ、持ち家にも家賃に相当する「消える費用」がある。住宅ローンの利息、固定資産税、管理費・修繕積立金、火災保険、購入時の諸費用。これらは資産にならず出ていくお金です。
だから比べるべきは「家賃 vs ローン返済額」ではなく、「家賃 vs 持ち家で消える費用(利息+税+管理費等)」。ここを見ずに月々の返済額だけで「家賃と同じなら買ったほうが得」と判断すると、つまずきます。ケースによりますが、ここの認識がずれたまま契約に進む人は少なくない。
札幌の数字で現在地を確認する
感情の前に、足元の数字を置いておきます。国土交通省「令和7年地価公示」では、札幌市の住宅地は前年比+2.9%、商業地+6.0%で全区が上昇。ただし前年(住宅地+8.4%・商業地+10.3%)と比べると上昇率は鈍化しています。値上がりが続くとは限らない、という空気は出てきている。
新築は不動産経済研究所によると2024年の札幌の新築分譲マンション平均価格が5,145万円。正直、ここ数年で手が届きにくくなった実感があります。一方で中古マンションの坪単価も直近10年で大きく上昇(東京カンテイ)。「待てば安くなる」とも言いにくいのが、今の札幌の難しさです。
もう一つ、長い目で見ておきたい数字。札幌市の人口は2020年の約197万人から、2060年には約159万人へ減る見通し(札幌市将来推計人口)。人口が減る街では、どこの物件でも値上がりするとは限らない。だからこそ「売れる物件かどうか」の選別が、これから先はもっと効いてきます。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると札幌の持ち家率は49.4%、空き家率は13.8%。半分は賃貸で暮らしている街であり、空き家も決して少なくない、という前提も頭に入れておきたいところ。
買うべきか、賃貸のままかを分ける判断軸
「家賃もったいない問題」を判断する5つの基準
すぐ「買いましょう」とは言いません。むしろ、次の5つで自分がどちら寄りかを冷静に見てほしい。これは自社に有利な基準ではなく、他社の試算を見るときにも使えるチェック項目です。
- 居住年数:同じエリアに10年以上住む見込みがあるか。転勤・転職の可能性が高いなら賃貸の身軽さが勝つ場面が多い。
- 出口(売りやすさ):駅距離・築年・管理状態から、買った価格に近い水準で売れそうな物件か。売れない物件は資産にならない。
- 月々の負担:ローン返済+管理費+税の合計が、今の家賃から大きく跳ね上がらないか。背伸びは後で効いてくる。
- 頭金と予備資金:頭金を入れても、生活防衛資金(半年〜1年分)が手元に残るか。全部つぎ込むのは危険。
- ライフプランの見通し:家族構成・働き方の変化を5〜10年で想定できるか。変化が読めないうちは買わない選択も正解。
3つ以上が「当てはまる」なら購入を真剣に検討する価値あり。逆に居住年数や出口に不安が残るなら、無理に買わなくていい。
現場の事例:家賃の代わりに買って、約10年後に頭金が残った夫婦
実際にあった話を一つ。賃貸更新のたびに「もったいない」と感じていたご夫婦が、新築ではなく築20年の中古マンションを約1,200万円で購入されました。決め手は、月々の負担が当時の家賃とほぼ変わらなかったこと、そして立地的に売りやすいと見込めたこと。
それから約10年。住み替えのタイミングで売却したところ、ほぼ同額で売れました。ローン残債を返した後、手元に約500万円が残り、それを戸建ての頭金にできた。賃貸ならその10年で支払った家賃は戻ってきません。ここで初めて「家賃はもったいなかった」が、この方にとっては本当だったと言える。
ただ、これは個別事例で、物件や市況によって結果は変わります。同じ築年でも管理が悪い物件なら同じ結果にはならなかったはず。「中古を買えば誰でも500万残る」という話では、まったくない。
もう一つ。25歳のエンジニアの方には、月々約6万円程度の返済を目安にリノベーションマンションをご提案しました。家賃と大きく変わらない負担で、10年後の住み替えまで一緒に設計した。若い世代でも「今の家賃の延長線上」で資産づくりの一歩目を踏める、という事例です。
最終的に「買う」を選んだ人が、契約前に確認していたこと
相談に来て、最終的に購入を選んだ方々に共通していたのは、即決していないこと。最初は警戒していました。「不動産屋は売りたいだけでしょう」と。正直、その警戒は健全だと思います。
その上で彼らが確認していたのは、おおむねこの順番でした。相談前は「そもそも自分は買える立場なのか」という不安。比較中は「A社の試算とB社の試算で月々が数千円違うのはなぜか」という迷い。納得した理由は「家賃と同水準の返済で、しかも売れる物件だと数字で見えた」こと。そして契約前に最後に確認したのは「10年後に売れなかった場合、どうなるか」という最悪のケースでした。
私たちは購入・工事・売却を分断せず、出口まで一緒に考える方針なので、この「売れなかったら」の問いに正面から答えます。むしろ、ここを濁す会社とは契約しないほうがいい。複数社で同じ質問をして、答え方を比べてみてください。
実は、比較中にいちばん迷うのは「数字が会社ごとに微妙に違う」点です。同じ物件でも、金利の前提・修繕積立金の見込み・売却時の手数料の置き方で、月々や手取りが変わる。ここで「うちが一番お得です」とだけ言う会社より、「なぜ差が出るか」を分解して説明できる会社のほうが信用できる、と私は思っています。No.1かどうかより、説明の透明さ。比較した人ほど、最後はそこで決めていました。
ちなみに私たちは札幌市中央区で2002年の創業、業界経験は約30年、仲介やリノベ企画で大小2,000件以上に関わってきました。道外(東京など)から札幌への移住・購入のご相談にも対応しています。とはいえ「経験があるから安心」と押し付けるつもりはなく、判断はあくまでご自身の数字でしてほしい。私たちの役割は、その数字を一緒に並べることです。
🏠 札幌の住まい・資産づくりの相談はアクシエイズムへ
「賃貸のままでいいのか」「中古を買ってリノベすべきか」「住宅ローンは無理がないか」——迷いを整理してから判断したい方へ。創業2002年・業界経験約30年、宅地建物取引士/ファイナンシャル・プランナーが、購入から将来の住み替え・売却まで見据えてご相談に乗ります。まずは無料相談から。
よくある質問
Q1. 結局、家賃はもったいないんですか?
A1. 短期居住なら、もったいなくありません。賃貸の身軽さの対価です。10年以上住み、売れる物件を買える場合に限り、家賃分が資産として残る可能性があります。
Q2. 札幌で今買うのは高値づかみになりませんか?
A2. 令和7年地価公示では札幌の住宅地+2.9%と上昇率は鈍化(前年+8.4%)。値上がり益狙いは慎重に、自分が住む価値で判断するのが安全です。
Q3. 新築と中古、どちらが「もったいなくない」?
A3. 2024年札幌の新築分譲マンション平均は5,145万円(不動産経済研究所)。出口の残価で考えるなら、価格と立地を選べる中古が候補になりやすいケースが多いです。
Q4. 月々の返済が家賃と同じなら買いですか?
A4. 返済額だけでなく、管理費・修繕積立金・固定資産税・利息を足した「消える費用」で比べてください。そこが家賃と同水準なら、検討の土台に乗ります。
Q5. 頭金はいくら用意すべき?
A5. 物件や収入で異なりますが、頭金を入れても生活防衛資金(半年〜1年分)を手元に残すのが原則。全額つぎ込むのは避けたほうが無難です。
Q6. 転勤の可能性があるけど買って大丈夫?
A6. 5年以内に動く可能性が高いなら、賃貸が無難です。買うなら、貸せる・売れる立地かを先に確認。出口が読めない物件は見送りも正解。
Q7. 「家賃もったいない」と煽る営業は信用できますか?
A7. もったいないかは年数と物件次第。煽りだけで物件の出口リスクを説明しない営業は要注意です。複数社で同じ質問をして答え方を比べてください。
Q8. まず何から始めればいい?
A8. 今の家賃を12倍し、住む予定年数をかけて総額を出す。次に同条件の中古物件の試算を取り、消える費用で比較。無料相談で複数の数字を見るのが早道です。
まとめ
要点を整理します。
- 「家賃もったいない」は、短期居住では成り立たず、長期居住×売れる物件のときに本当になる
- 比べるべきは「家賃 vs 返済額」ではなく「家賃 vs 持ち家で消える費用」
- 判断は居住年数・出口・月々負担・予備資金・ライフプランの5基準で、数字で行う
- 1社の試算で即決せず、複数の返済シミュレーションと出口価格を比較する
家賃の更新通知を見て計算アプリを開く、その手前で止まっているなら、まずは自分の数字を一度出してみてください。同じエリアに長く住む見込みがあり、月々の負担が家賃と大きく変わらないなら、購入を比較検討する価値は十分にあります。迷っているなら、賃貸を続けた場合と買った場合の数字を並べて見せてもらうのがおすすめ。アクシエイズムでは出口(売却)まで含めた無料相談を行っています。
参考文献
- 国土交通省「令和7年地価公示」
- 不動産経済研究所「全国新築分譲マンション市場動向(2024年)」
- 東京カンテイ「札幌市マンション市場データ」
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