子育て世帯が賃貸と購入で迷うなら、判断軸は「今後10年でその家にいくら払い、最後にいくら残るか」です。家賃は払い続けても自分の資産になりません。購入は出口(売却・住み替え)まで設計できれば、住みながら資産をつくれる可能性があります。ただし全員に購入が正解ではありません。転勤の有無、世帯収入の安定度、頭金、そして売れる立地。この4つで結論は変わります。まず数字で比べること。
【この記事のポイント】
- 賃貸か購入かは「毎月の支払い」だけでなく「10年後に手元に残る額」で比べる
- 子育て世帯は学区・間取り・転勤リスクで判断が分かれる。一律の正解はない
- 札幌では中古マンションのリノベが「無理のない返済で資産化」する現実的な選択肢になりやすい
今日のおさらい:要点3つ
- 賃貸は身軽さと引き換えに、支払った家賃が手元に残らない。購入は出口設計ができれば資産になる
- 判断は「転勤・収入の安定・頭金・売れる立地」の4点で。どれか欠けるなら賃貸継続も正しい選択
- 迷ったら金額をシミュレーションし、住み替えまで含めて相談する。1社で即決しない
この記事の結論
- 一言で言うと、賃貸か購入かは「身軽さ」と「資産化」のどちらを今の家族が優先すべきかの選択
- 最も重要なのは、購入する場合に「将来売れる・貸せる物件か」を最初に確認すること
- 失敗しないためには、毎月の返済額を生活が苦しくない水準に抑え、出口まで一緒に考えてくれる相手を選ぶこと
保育園の送り迎えの帰り道、スマホで「子育て 賃貸 購入」と打ち込んでいるあなたへ
夜、子どもを寝かしつけたあと。リビングで一人、スマホの検索窓に「子育て 賃貸 購入 どっち」と打ち込む。出てくるのはローンシミュレーターと、知らない会社の広告と、誰かの後悔談。読めば読むほど、決められなくなる。
正直なところ、この迷いは情報が足りないからではありません。情報が多すぎて、自分の家族の数字に置き換えられていないだけ。よくあるのが、他人のケースを読んで不安になり、また検索に戻る、というループです。「子育て 賃貸 購入 後悔」「子育て 持ち家 タイミング」と、検索ワードだけが増えていく。
ここで一度、立ち止まってほしいことがあります。あなたが本当に知りたいのは「世間的にどっちが正解か」ではなく、「うちの家族なら、どっちが得で、どっちが安心か」のはず。だとすれば、必要なのは一般論ではなく、自分の数字です。
賃貸のままで本当にいいのか、という引っかかり
お子さんが生まれて、今の賃貸が手狭に感じ始める。家賃を10年払えば、2LDKでも軽く700万〜900万円。それが一切、手元に残らない。この事実に気づいた瞬間に、多くの方が「購入」を考え始めます。
ただ、です。購入にも警戒すべき点はあります。固定資産税、修繕、住み替えにくさ。賃貸の「いつでも動ける身軽さ」は、子育て世帯にとって意外と大きな価値。転勤の可能性が残っているなら、慌てて買う必要はありません。
実際、相談に来られる方にもよくお伝えします。「家賃がもったいない」という気持ちだけで買うと、出口で苦労することがある、と。家は買った瞬間が一番高く、売るときにいくらで手放せるかは立地が決めます。ここを飛ばして「とにかく賃貸を卒業したい」で動くと、数年後に後悔につながりやすい。だから最初に確認するのは、毎月いくらかではなく、その家が10年後にいくらで売れそうか、です。
札幌の数字を、家族の判断材料に置き換える
実際の数字を見ておきます。2024年の札幌の新築分譲マンション平均価格は5,145万円(不動産経済研究所)。正直、子育て世帯の一次取得には重い水準です。一方で、令和7年地価公示では札幌市の住宅地が+2.9%、商業地+6.0%と全区で上昇。前年は住宅地8.4%・商業地10.3%でしたから、上昇率は鈍化しています。
つまり「高止まりしつつ、伸びは緩やかになってきた」局面。慌てて飛びつく必要はないけれど、待てば安くなるとも言い切れない。ここが判断の難しいところです。
持ち家率49.4%という札幌の現実
令和5年住宅・土地統計調査によると、札幌の持ち家率は49.4%。共同住宅比率64.3%、空き家率13.8%。半分の世帯は賃貸で暮らしている、ということ。だから「みんな買っているのに自分だけ」という焦りは、データ上は正確ではありません。
買う人と借り続ける人、どちらも札幌では普通。だからこそ、世間の空気ではなく自分の家族の条件で決める意味があります。
ひとつ補足しておくと、札幌の人口は2020年の約197万人から2060年には約159万人へ減る見通し(札幌市将来推計)。長い目で見れば、どこでも資産価値が保てる時代ではありません。だからこそ「買うなら立地を選ぶ」、これがこの先ますます効いてきます。逆に言えば、立地を選ばずに買うくらいなら、賃貸で身軽さを保つほうが安全なこともある、ということ。
賃貸か購入か、子育て世帯が見るべき判断軸
ここからは、感情ではなく軸で考えます。私たちが相談を受けるときに、必ず確認していることをそのまま共有します。自社に都合よく誘導するためではなく、他社と比べるときにも使える基準として読んでください。
賃貸か購入かを決める5つの判断基準
- 転勤・転職の可能性 ── 5年以内に動く可能性があるなら、賃貸継続か、売れる・貸せる物件に限定して購入。動かないなら購入の比重が上がる。
- 世帯収入の安定度 ── 共働きで世帯収入が安定しているか。片働きに戻る可能性があるなら、返済額は手取りの20〜25%以内に抑える。
- 頭金と諸費用の余力 ── 物件価格の1割前後+諸費用を出しても、生活防衛資金(半年分の生活費)が残るか。残らないなら時期を待つ。
- 物件の「出口」 ── 10年後に売れる・貸せる立地か。駅距離、学区、再開発の有無。これが最重要です。
- 今の家賃と返済額の差 ── 購入後の月々返済+管理費・修繕積立・税金が、今の家賃と同程度かやや上で収まるか。
5つすべてが完璧に揃うことは稀。3つ以上に納得できるなら購入を具体検討、2つ以下なら賃貸継続も立派な戦略です。
現場の事例:月6万円の返済から始めた25歳と、10年で500万円残ったご夫婦
ひとつ目。25歳のエンジニアの方に、月々約6万円程度の返済を目安にリノベーションマンションをご提案したことがあります。「家賃と変わらない額で、自分のものになる」。彼が一番響いたのはその一点でした。10年後、家族が増えたタイミングで住み替えにつなげました。
もうひとつ。賃貸の代わりに築20年の中古マンションを約1,200万円で購入されたご夫婦。約10年後、ほぼ同額で売却できました。ローン残債を返したあと、手元に約500万円。それを戸建ての頭金にされました。家賃なら消えていたはずのお金が、次の家の原資に変わった瞬間です。
ただ、念のため。これは個別の事例で、物件や市況によって結果は変わります。同じ買い方をすれば必ず500万円残る、という話ではありません。そこは正直にお伝えしておきます。
比較した人が最終的に確認していたこと
相談に来られる方の多くは、すでに2〜3社を回っています。その方々が最後に何で決めたか。「売るときの話まで、嫌な顔せずしてくれたか」。これが共通していました。
買わせて終わり、ではなく、10年後の住み替えや売却まで一緒に考える姿勢があるか。私たちが購入・工事・売却を分断しないのは、出口が見えていないと、子育て世帯の購入はリスクになりかねないからです。中古マンションの坪単価は直近10年で大きく上昇している(東京カンテイ)とはいえ、それも立地次第。だからこそ、最初に出口を確認します。
もう一点、比較中の方がよく気にしていたのが「ここの会社、自分のところで買わせたいだけじゃないか」という警戒心。これはまったく自然な感覚です。むしろ、その目で見てほしい。判断基準を3つも4つも示してくれて、他社で買う場合の注意点まで話せる相手なら、信頼の置きどころがあります。逆に、自社のメリットしか言わない相手は、出口で困ったときに頼りになりにくい。1社だけで即決せず、必ず複数を比べてください。これは、自分で納得して決めるための最低限の手間です。
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よくある質問
Q1. 子育て中は賃貸と購入、どちらが得ですか?
A1. 一律の正解はありません。10年以内に転勤・住み替えの可能性が低く、売れる立地を選べるなら購入が資産化しやすいです。逆に流動性を重視するなら賃貸が合理的です。
Q2. 新築と中古、子育て世帯にはどちらがおすすめ?
A2. 予算次第です。札幌の新築マンション平均は5,145万円(不動産経済研究所)と高め。返済を抑えたいなら中古+リノベが現実的な選択肢になりやすいです。
Q3. 頭金はどのくらい必要ですか?
A3. 目安は物件価格の1割前後+諸費用です。ただし頭金を入れすぎて生活防衛資金(生活費半年分)が枯れるのは本末転倒。バランスで判断します。
Q4. 賃貸だと「もったいない」と感じます。本当に損ですか?
A4. 家賃は資産になりませんが、身軽さという価値があります。転勤や収入変動のリスクが高い時期は、賃貸の機動性がむしろ得になることもあります。
Q5. 子どもの学区が決まる前に買って大丈夫?
A5. 急がなくて大丈夫です。学区・通学距離は子育て購入の満足度を左右します。むしろ学区を見極めてから動く方が、後悔が少ない傾向です。
Q6. 札幌で今買うのは高値づかみになりませんか?
A6. 令和7年地価公示では住宅地+2.9%と上昇率が鈍化しています。高止まり局面ですが、待てば下がるとも限りません。物件単位で割高かを見極めるのが現実的です。
Q7. 将来売れるか不安です。何を見ればいい?
A7. 駅距離、学区の人気、管理状態、再開発の有無を確認します。札幌の人口は2060年に約159万人へ減る見通し(札幌市将来推計)。立地の選別がより重要になります。
Q8. 相談はどのタイミングですればいいですか?
A8. 「買うか決めてから」ではなく「迷っている今」がおすすめです。数字を並べて比較するだけでも、賃貸継続か購入かの判断材料が整理できます。
まとめ
要点を整理します。
- 賃貸か購入かは「毎月いくら」だけでなく「10年後に手元へいくら残るか」で比べる
- 判断軸は転勤・収入の安定・頭金・売れる立地・家賃との差の5つ。3つ以上納得できるなら購入を具体検討
- 札幌では新築が5,145万円と高め。中古+リノベが無理のない資産化の選択肢になりやすい
- 1社で即決せず、出口(売却・住み替え)まで一緒に考えてくれる相手かを確認する
転勤の可能性が低く、共働きで収入が安定し、売れる立地を選べる人は、今の家賃と返済額を並べて比較すべきタイミングです。逆に条件が揃わないなら賃貸継続も正解。迷っているなら、まず数字のシミュレーションだけでも。私たち株式会社アクシエイズムは購入・工事・売却を分断せず、将来の住み替えまで一緒に考える無料相談を行っています。決める前の整理に、お使いください。
参考文献
- 不動産経済研究所「全国新築分譲マンション市場動向(2024年)」
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
- 国土交通省「令和7年地価公示」
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