相続した不動産のトラブルは、放置すればするほど深刻になります。理由は単純で、相続人が増え、固定資産税が積み上がり、建物が傷むからです。だからまず、名義・分け方・売るか持つかの3点を早めに整理する。これが相続不動産トラブルを避ける出発点です。札幌のように地価が上がっている地域でも油断は禁物。価格が上がっても、共有名義の物件は1人の反対で動かせなくなります。今日は、その正体と判断の順番を具体的に書きます。
【この記事のポイント】
- 相続不動産トラブルの多くは「分け方」と「名義の放置」から起きる、という根本原因がわかる
- 売る・持つ・活用するを判断するための具体的なチェック項目が手に入る
- 札幌で実際にあった事例から、もめずに進めた人の手順がわかる
今日のおさらい:要点3つ
- 共有名義のまま放置すると、相続人が増えて売却も活用もできなくなる。最初の数年が勝負。
- 「いくらで売れるか」より先に「誰が・どう分けるか」を決める。順番を逆にするともめる。
- 札幌は地価上昇局面でも、空き家率13.8%。持ち続けるコストと出口を必ずセットで考える。
この記事の結論
- 一言で言うと、相続不動産のトラブルは「お金の問題」ではなく「決める順番と人間関係の問題」です。
- 最も重要なのは、感情がこじれる前に、第三者を入れて分け方の選択肢を全部テーブルに並べること。
- 失敗しないためには、1社・1つの方法に即決せず、売却・賃貸・活用・分割を比較してから選ぶこと。
親の家を相続したけれど、何から手をつければいいかわからない
夜中に「相続 不動産 もめる」と検索窓へ打ち込む
正直なところ、相続が発生した直後の数ヶ月は、誰も冷静ではいられません。葬儀が終わり、四十九日も過ぎたあたりで、ふと実家の名義が親のままだと気づく。固定資産税の納付書が届いて、はじめて「これ、どうするんだろう」と手が止まる。
夜、スマホで「相続 不動産 もめる」「相続 共有名義 後悔」と何度も打ち込んでは、似たような記事を読み漁る。読めば読むほど不安が増える。兄弟は「とりあえず置いておこう」と言うけれど、その「とりあえず」が一番怖い、という感覚だけは残っている。
当社にも、こういう状態でいらっしゃる方が少なくありません。相談に来る方の多くは、答えが欲しいというより、「自分の考えがズレていないか確認したい」だけだったりします。背中を押してほしいのか、止めてほしいのか、自分でもわからない。その曖昧さのまま、何ヶ月も検索だけを続けてしまう。
よくあるのが、「とりあえず相談したら、すぐ売る話を進められそうで怖い」という警戒心です。これはもっともな感覚で、否定しません。だからこそ、相談=契約ではない、という前提から確認しておきたい。
放置すると何が起きるのか、を時系列で整理する
トラブルの正体を、まず言語化します。相続不動産でこじれる典型は、次の流れです。
一つ、名義変更(相続登記)を後回しにする。二つ、誰も住まない家の固定資産税と管理を、なんとなく1人が負担し続ける。三つ、数年後にその相続人が亡くなり、今度はその子どもたちも権利者になる。気づけば名義人が5人、7人と増え、全員の同意がないと1円にもできない。
ケースによりますが、ここまで来ると、売るにも測量や境界確認のやり直し、相続人全員への連絡、印鑑集めで半年〜1年かかることも珍しくありません。2024年4月から相続登記は義務化されており、正当な理由なく放置すると過料の対象になります。「とりあえず」のコストは、思っているより高い。
数字で見る、札幌の今
判断材料として、地域の数字も押さえておきます。総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」によると、札幌の空き家率は13.8%、持ち家率は49.4%。共同住宅の比率が64.3%と高いのも札幌の特徴です。
一方で、国土交通省「令和7年地価公示」では、札幌市の住宅地は前年比+2.9%、商業地+6.0%と全区で上昇。上昇率は鈍化したものの、まだ価格は底堅い。つまり「売るなら今でも遅くない、でも空き家として放置する余裕はない」という、両方の事実が同時に存在しているわけです。
ただ、地価が上がっているからといって、慌てて売る必要があるわけでもない。札幌市の将来推計人口では、2020年の約197万人から2060年には約159万人へ減少が見込まれています。長い目で見れば、立地によって持ち続ける価値の差は開いていく。だから「いつ売るか」より先に、「この場所は持つ価値があるか」を冷静に見極める。数字は煽るためでなく、判断の物差しとして使うものです。
もめずに進めるための判断軸を持つ
相続不動産トラブルを避ける5つの判断基準
ここからが本題です。実は、もめる・もめないの分かれ目は、ほぼこの5点で決まります。1社の意見だけでなく、他社に相談するときにもそのまま使える基準として書きます。
- 名義(相続登記)が済んでいるか。 済んでいないなら、価格査定より先にここ。専門家は司法書士、相談先は不動産会社や金融機関のFP。
- 相続人全員の「方向性」が一致しているか。 売る・持つ・誰かが住む。バラバラなら、まず分け方の選択肢を全員に見せる。
- 持ち続けたときの年間コストを試算したか。 固定資産税、管理費、修繕、火災保険。空き家なら劣化も。
- その不動産の「出口」が見えているか。 いくらで売れそうか、貸せるのか、活用できるのか。価格は東京カンテイ等のデータと現地査定の両方で。
- 相談先が、売却だけでなく活用・分割の選択肢も並べてくれるか。 売却仲介しか提案しない会社だと、選択肢が狭まる。
正直に言うと、5番目は私たち自身への戒めでもあります。不動産会社は売買を扱うので、どうしても「売りましょう」に寄りがち。だからこそ、貸す・直す・用途を変えるという別の道も机に乗せられるかどうかを、相談先選びの物差しにしてほしい。
現場で実際にあったこと
実体験を2つ。
一つ目。築20年の中古マンションを相続したご夫婦のケースに近い話ですが、もともと当社では、賃貸の代わりに約1,200万円で中古マンションを購入されたご夫婦が、約10年後にほぼ同額で売却し、ローン残債を返したうえで約500万円が手元に残り、それを戸建ての頭金にできた、という事例があります。相続でも考え方は同じで、「持ち続ける前提」を一度外して、出口から逆算すると判断が変わる。
二つ目。札幌市西区八軒で、使われなくなった冷凍冷蔵倉庫を葬儀場へコンバージョン(用途変更)した事例。これは相続そのものではありませんが、「売れない・貸せない」と思われた建物が、用途を変えると価値を持つ、という典型例です。旧新聞社の社屋をレストランに再生したケースもありました。相続した不動産が変わった形状でも、すぐ「負動産」と決めつけない方がいい。※いずれも個別事例で、物件・市況により異なります。
会話で印象に残っているのは、ある相続人の方の一言。「兄に言い出せなくて、ずっと黙ってたんです」。お金より先に、言い出せない関係性が止めていた。第三者が間に入るだけで、案外すっと動くことがあります。その方は、最初の面談では売る・売らないの結論を出しませんでした。代わりに、選択肢ごとの手取り試算と、兄への説明資料を一緒に作っただけ。決めたのは、その2週間後でした。
当社の理念は「思いやりと創意工夫で、暮らしを楽しく元気にする!」。購入も工事も売却も分断せず、将来の住み替えや出口まで一緒に考える、という姿勢で続けてきました。仲介・リノベ企画など大小2,000件以上の中で学んだのは、急がせないほうが、結局いい判断につながるということです。
比較した人が最終的に確認したこと
複数の会社に相談した方が、最後に何を見て決めたか。これが一番参考になると思います。
ある方は3社に話を聞いて、こう言っていました。「査定額が一番高い会社じゃなく、売らない選択肢も説明してくれた会社にした」。査定額の高さは、必ずしも手取りの多さではない。仲介手数料、リフォーム要否、売却までの期間で実際の手取りは変わります。
比較中の方が確認していたのは、だいたいこの3つ。①なぜその価格なのか根拠を出せるか、②売却以外の道(賃貸・活用・共有物分割)も提示したか、③相続人全員への説明に同席してくれるか。逆に、契約を急かす・他社批判をする・「うちが一番」と根拠なく言う会社は、そこで外していました。妥当な判断だと思います。
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よくある質問
Q1. 相続した不動産は、すぐ売った方がいいですか?
A1. 一概には言えません。札幌は地価上昇局面(令和7年地価公示で住宅地+2.9%)ですが、空き家率13.8%。持ち続けるコストと出口を試算してから、売る・貸す・活用を比較するのが先です。
Q2. 共有名義のままにしておくと、何が問題ですか?
A2. 1人でも反対すると売却も賃貸もできなくなります。さらに相続人が亡くなると権利者が増え、数年で5人以上になることも。早めの単独名義化や分割の話し合いが鍵です。
Q3. 相続登記はしないといけませんか?
A3. はい。2024年4月から義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象になります。価格査定より先に、登記の状況確認を優先してください。
Q4. 兄弟で意見が割れています。どうすれば?
A4. まず「売る・持つ・誰かが住む」の選択肢と、それぞれのお金の流れを全員に同じ資料で見せること。第三者(不動産会社やFP)を間に入れると、感情論になりにくいです。
Q5. 古い家や変わった建物でも価値はありますか?
A5. あります。当社では冷凍冷蔵倉庫を葬儀場へ、旧新聞社社屋をレストランへ用途変更した実績があります。「売れない」と決めつける前に活用の可能性を確認を。※物件により異なります。
Q6. 道外に住んでいて、札幌の実家を相続しました。対応できますか?
A6. 対応しています。当社は東京など道外から札幌への移住・購入・売却相談も受けています。現地確認や手続きの段取りも含めて、遠方の方向けに進められます。
Q7. 査定額が一番高い会社を選べばいいですか?
A7. 必ずしもそうとは限りません。手数料・リフォーム要否・売却期間で手取りは変わります。価格の根拠を説明でき、売却以外の道も示す会社かで比較してください。
Q8. 相談だけでもお願いできますか?
A8. できます。当社は無料相談を設けています。名義・分け方・出口の整理だけでも、現状を一緒に棚卸しすることで次の一歩が見えやすくなります。
まとめ
要点を整理します。
- 相続不動産トラブルの正体は「お金」より「決める順番と人間関係」。名義・分け方・出口の順で整理する。
- 共有名義の放置は最大のリスク。相続人が増える前の最初の数年が勝負。
- 売却・賃貸・活用・分割を比較し、1社・1つの方法に即決しない。査定額の高さ=手取りの多さではない。
- 古い家や変わった建物も、用途変更で価値が出ることがある。「負動産」と決めつけない。
もし今、実家の名義が親のままで止まっているなら、それは相談すべきサインです。兄弟に言い出せず迷っているなら、まず第三者を入れて選択肢を並べるところから。札幌・道外問わず、無料相談で現状の棚卸しだけでも始めてみてください。
参考文献
- 国土交通省「令和7年地価公示」
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
- 東京カンテイ「札幌市マンション市場データ」
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