相続した不動産を売ると、税金は必ずかかるわけではありません。利益(譲渡所得)が出たときだけ、その利益に課税されます。判断のカギは「いくらで買った物件か(取得費)」と「いつから所有していたか(所有期間)」の二つ。相続後3年10か月以内の売却なら、払った相続税の一部を取得費に上乗せできる特例も使えます。まず確認すべきは、亡くなった方の購入時の契約書が残っているか。これが税額を大きく左右します。
【この記事のポイント】
- 相続不動産の売却で税金がかかるのは「売却益が出たとき」だけ。何にいくらかかるかを先に把握する
- 取得費・所有期間・各種特例で税額は大きく変わる。書類の有無が分かれ目になる
- 一括査定の数字だけで動かず、税金まで含めた「手取り」で比較して判断する
今日のおさらい:要点3つ
- 相続不動産の売却税は「譲渡所得(売却益)」にかかる。売値から取得費と諸経費を引いてプラスなら課税、マイナスなら原則かからない
- 所有期間で税率が変わる。亡くなった方の取得日を引き継ぐため、5年超なら長期譲渡(約20%)になることが多い
- 「取得費加算の特例」「空き家の3,000万円控除」などを使えるかで手取りが数百万円単位で動く。期限と要件の確認が先
この記事の結論
- 一言で言うと、相続不動産の売却税は「売って利益が出た分」にだけかかり、特例で大きく減らせる場合がある
- 最も重要なのは、購入時の契約書(取得費の証明)と所有期間の確認。ここで税額の土台が決まる
- 失敗しないためには、査定価格だけでなく「税金を引いた手取り」と「使える特例」をセットで確認すること
札幌で相続した実家やマンション、売却の前に検索の手が止まる瞬間
夜中に「相続不動産 売却 税金」と打ち込んでいる
相続の手続きが一段落して、ふと残った実家やマンションをどうするか考え始める。賃貸に出すか、空き家のままにするか、売るか。売ると決めかけたところで、急に手が止まる。「売ったら税金、いくら取られるんだろう」。
スマホで「相続不動産 売却 税金」と検索して、出てくるのは譲渡所得税の計算式と、見慣れない用語の羅列。3,000万円控除、取得費加算、長期短期、概算取得費。読んでも自分のケースに当てはめられず、同じ言葉をもう一度検索窓に打ち込む。深夜にこれを繰り返している方は、正直なところ少なくありません。
正体を先に言うと、不安の大半は「税額が読めないこと」です。いくらかかるか分からないから、売る判断もできない。逆に言えば、何にいくらかかる仕組みかさえ分かれば、迷いはかなり小さくなります。
まず整理:相続不動産を売ったときにかかる税金の正体
相続不動産の売却でかかるのは、主に「譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)」です。計算の骨格はシンプルで、
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)−(使える特別控除)
このプラス分にだけ税率がかかります。売却価格そのものに丸ごとかかるわけではない。ここを誤解して「2,000万円で売ったら400万円持っていかれる」と思い込んでいる方が、実は一番多い。
取得費は、亡くなった方が買ったときの購入代金や諸費用です。相続で「買った価格」がリセットされるわけではなく、亡くなった方の取得費と取得日をそのまま引き継ぎます。譲渡費用は仲介手数料や測量費、建物の取り壊し費用など、売るためにかかった費用。
ここで多くの方がつまずくのが「相続税を払ったのに、また売却で税金?」という点です。相続税と譲渡所得税は別物。相続したこと自体への課税が相続税、その後に売って利益が出たことへの課税が譲渡所得税です。二重に取られているように感じるかもしれませんが、性質が違います。ただし後述の「取得費加算」で、払った相続税の一部を売却益の計算に反映できる仕組みは用意されています。
数字で見ておく:札幌の相場と「利益が出やすい」状況
ここ数年の札幌は地価が上がってきました。国土交通省「令和7年地価公示」によると、札幌市の住宅地は前年比+2.9%、商業地は+6.0%で全区が上昇。前年(住宅地+8.4%・商業地+10.3%)よりは上昇率が鈍化したものの、上がり続けている点は変わりません。
中古マンションの坪単価も直近10年で大きく上昇している(東京カンテイ)。つまり、親世代が20年・30年前に買った物件を今売ると、当時より高く売れて利益が出やすい局面なんです。利益が出やすい=課税対象になりやすい、ということでもある。だからこそ、特例を使えるかどうかが効いてきます。
相続不動産の売却税で損しないための判断軸
税金で損しないための5つの判断基準
- 取得費を証明できるか——亡くなった方の購入時の売買契約書があるかを最優先で確認。なければ売却価格の5%を概算取得費とせざるを得ず、利益が大きく計算され税額が膨らみます
- 所有期間が5年超か——相続では亡くなった方の取得日を引き継ぐため、長期譲渡(税率約20%)になるケースが多い。短期(約39%)とは倍近く違う
- 「取得費加算の特例」が使えるか——相続税を払った人が、相続開始の翌日から3年10か月以内に売れば、納めた相続税の一部を取得費に加算でき、税額を圧縮できます
- 「空き家の3,000万円特別控除」の要件に当たるか——一定の旧耐震家屋とその敷地を相続し、要件を満たして売る場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる可能性がある
- 「手取り」と「期限」で比較しているか——査定額の高さだけでなく、税金・諸費用を引いた手取りと、特例の適用期限の両方で判断する
この5つは自社に都合よく作った基準ではありません。どの会社・どの税理士に相談しても確認すべき共通の軸なので、他社比較のチェックリストとしてそのまま使ってください。なお、特例の適用可否は個別事情で変わるため、最終判断は税務署か税理士への確認が必要です。
現場の事例:賃貸代わりに買った中古マンションが、出口で効いた話
直接の相続事例ではありませんが、「買って・持って・売る」の出口設計が税と手取りにどう効くか、実際の例で。
賃貸の家賃を払い続ける代わりに、築20年の中古マンションを約1,200万円で購入されたご夫婦がいました。約10年後、ほぼ同額で売却。ローン残債を返したあと約500万円が手元に残り、それを戸建ての頭金にできました。
このとき大きかったのが、購入時の契約書をきちんと保管していたこと。取得費がはっきりしていたので、譲渡所得の計算でつまずかなかった。相続の場面でも構図は同じで、「いくらで買ったかの証明」があるかどうかで、後の税額の見通しが丸ごと変わります。
「正直、契約書なんて捨てたかも」とおっしゃる方は本当に多い。よくあるのが、実家の権利証や古い契約書が、仏壇の引き出しや古い金庫から出てくるパターン。売却を決める前に、まず家中を探してみてください。分譲時のパンフレットや当時の住宅ローンの書類、購入時の領収書でも、取得費を裏づける手がかりになることがあります。※これは個別事例で、物件や市況により結果は異なります。
札幌では、親世代が30年・40年前に郊外で買った戸建てや、中央区のマンションを相続するケースが増えています。当時の価格を覚えている方は少なく、書類も散逸しがち。だからこそ、相続が起きたら「いつか売るかもしれない」前提で、関係書類を一か所にまとめておくだけでも、後の選択肢が広がります。
比較した人が最終的に確認したこと
相談に来られる方の動きを時系列で見ると、だいたいこうです。
最初は不安。「相続したけど税金が怖くて動けない」。次に一括査定サイトで複数社に出して、価格に幅があることに戸惑う。「A社とB社で500万円も違う、どっちが本当?」。ここで一度、警戒心が顔を出す。高い査定を出す会社ほど信用していいのか、と。
迷いを抜けた方が最後に確認していたのは、価格そのものよりも次の三つでした。①その査定額で本当に売れる根拠(成約事例か希望価格か)、②税金と諸費用を引いた手取りはいくらか、③使える特例の期限に間に合うか。一社の言い分だけで決めず、複数社と税の専門家の話を突き合わせて納得してから動く——遠回りに見えて、これが結局いちばん損が少ない。
私たちアクシエイズムも、価格を一番高く言う会社になろうとは思っていません。購入・工事・売却を分断せず、出口まで一緒に考える。相続後の売却なら、特例の期限から逆算して動くスケジュールづくりまで含めて、無料相談でお手伝いしています。
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よくある質問
Q1. 相続した不動産を売ると、必ず税金がかかりますか?
A1. いいえ。税金がかかるのは売却益(譲渡所得)が出たときだけです。売値が取得費+諸経費を下回れば、原則として譲渡所得税はかかりません。
Q2. 取得費が分からない(契約書がない)場合はどうなりますか?
A2. 売却価格の5%を「概算取得費」として計算します。実際の購入額より低くなりがちで、利益が大きく出て税額が膨らむため、契約書はまず探すべきです。
Q3. 税率はどのくらいですか?
A3. 所有期間で変わります。相続は亡くなった方の取得日を引き継ぐため、5年超の長期譲渡なら約20%、5年以下の短期なら約39%が目安です。
Q4. 「取得費加算の特例」とは何ですか?
A4. 相続税を納めた人が、相続開始の翌日から3年10か月以内に売却すると、納めた相続税の一部を取得費に加算できる制度。利益が圧縮され税額が下がります。
Q5. 空き家を売るときの3,000万円控除は使えますか?
A5. 一定の旧耐震家屋とその敷地を相続し、耐震改修や取り壊しなど要件を満たして売る場合、最大3,000万円を控除できる可能性があります。要件確認が必須です。
Q6. 相続人が複数いる場合、税金はどう分けますか?
A6. 共有なら持分に応じて各人が譲渡所得を計算し、それぞれ申告します。誰が払い、誰が住んでいたかで使える特例も変わるため、売る前に方針を揃えるのが安全です。
Q7. 確定申告は必要ですか?いつまで?
A7. 売却益が出た場合は、売った翌年の2月16日〜3月15日に確定申告が必要です。特例で税額がゼロでも、適用を受けるには申告が要るケースがあります。
Q8. 売るか貸すか迷っています。判断材料は?
A8. 札幌は地価上昇で今は売り時の側面がある一方、空き家率は13.8%(総務省)。維持コストと将来の需要、特例の期限を並べて、手取りベースで比較してください。
まとめ
要点を整理します。
- 相続不動産の売却税は「売って利益が出た分」にだけかかる。売却価格全体にかかるのではない
- 取得費の証明(購入時の契約書)と所有期間の確認が、税額の土台を決める
- 取得費加算(3年10か月以内)や空き家3,000万円控除など、期限つきの特例で手取りは大きく変わる
- 査定額だけでなく「税金を引いた手取り」と「特例の期限」をセットで比較して判断する
実家やマンションをどうするか手が止まっているなら、特例の期限が来る前に一度、税金まで含めた手取りの見通しを立てておくのがおすすめです。札幌で相続不動産の売却を考えている方は、購入から売却の出口まで一貫して相談できる窓口で、まず現状整理だけでもしてみてください。アクシエイズムの無料相談も、その一歩に使っていただけます。
参考文献
- 国土交通省「令和7年地価公示」
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」
- 東京カンテイ「札幌市マンション市場データ」
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