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「この開放感、ずるい」吹き抜けと光がつくる暮らし

大きな扉を押して、玄関に一歩入った瞬間だった。

「……あ、外が見える。」

正面の窓が、まるで家の向こう側まで視線を抜いてくれる。
玄関という“区切り”のはずなのに、ここでは最初から世界が広い。

建築家が設計した家、と聞いていたけれど、なるほど——この一手で、暮らしの気分まで変えてしまう。

廊下を数歩進む。

次に待っていたのは、吹き抜けのリビングだった。

天井の高さが、そのまま呼吸の深さに変わる。
窓から光が落ちて、空気がやわらかく動く。

言葉にするなら、キーワードは「開放感」と「広がり」。
家具の配置や家族の距離まで、自然と整っていくような不思議な余白がある。

「ここ、いいね」

隣でつぶやく声に、私はうなずいた。

広いだけじゃない。
視線の抜け、天井の高さ、光の入り方——“広く感じる設計”が、丁寧に仕込まれている。

たとえば休日。
誰かがキッチンに立ち、誰かがソファで本を読み、誰かが階段を上がる。

別々のことをしているのに、家族の気配は途切れない。
吹き抜けは、単なるデザインではなく、暮らしをひとつにまとめるための仕掛けだ。

そして、この家の「広がり」を本当に決定づけているのは、室内だけじゃなかった。

外に出た瞬間、思わず笑ってしまう。

——土地、約150坪。

数字として知っていても、体感は別ものだ。
庭が“ある”ではなく、庭が“続く”。

視界の中に余白が残り、息を吸ったときの空気が違う。

ここに住むなら、庭はきっと家の一部になる。

夏は小さな椅子を出して、風の音を聞く時間が増える。
家庭菜園も、花壇も、やろうと思えばいくらでも広げられる。

子どもが走ってもいいし、犬が喜ぶのも想像できる。
友人を招いてバーベキューをする日だっていい。

車の台数が増えても慌てない。
来客があっても、駐車で気を遣う必要がない。

土地の広さは、暮らしの“許容量”だ。
予定外が起きても、ここなら受け止められる。

もちろん、広い土地には“手がかかる”側面もある。
草取りや雪の季節のことも、ちゃんと考える必要がある。

だけど、逆に言えば、それを差し引いてもこの余白が欲しい人がいる。

忙しい日々の中で、ふと立ち止まる場所が欲しい人。
窓を開けたとき、空が近い家が欲しい人。

外の世界に押し込められるのではなく、外の世界を家の中に引き込む暮らしがしたい人。

室内に戻り、ふと壁を見上げる。

きれいに住まわれてきた空気は確かにある。
それでも、「このまま住む」には少しだけ気になるところがあった。

長い時間が触れた分、壁紙には淡い“すすけ”が乗っている。

嫌な古さではない。
むしろ大事にされてきた証拠だ。

ただ、ここから新しい暮らしを始めるなら、壁紙を替えるだけで家はもう一段、明るくなると思った。
光を受け止める面が整えば、この開放感はもっと際立つ。

“手を入れるなら大がかりに”ではなく、まずは“空気を変える一手”。
その一手が効く家だ。

もう一度、玄関に戻ってみる。

扉の向こう、最初に見えた窓が、やっぱり外へ視線を連れていく。

この家がくれるのは、広さそのものより「広がり」だ。
視線が抜け、空気が抜け、心まで抜ける。

土地150坪という余白が、その感覚を家の外側からも支えている。

扉を閉めた瞬間に狭くなる家ではなく、扉を開けた瞬間から世界がひらく家。

——そういう家を探していた人には、きっと静かに響く。


Story by スタッフS

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